2024年3月2日土曜日

第21回定期演奏会 曲紹介~華麗なる舞曲~

 2024年3月9日(土)に開催されるまちかね山吹奏楽団第21回定期演奏会の開催に先立ち、全2回に分けて演奏曲目の紹介をいたします。今回と次回の曲紹介を通して、少しでも我々の演奏会に興味を持っていただけると幸いです。最後に来場予約のリンクも掲載しております。みなさまのご予約をお待ちしております。

 



さて、第1回は、第1部にオープナーとして演奏いたします「華麗なる舞曲(作曲:クロード・トーマス・スミス)」を紹介いたします♪(ちなみに第二回では、交響曲第九番(作曲:ジェイムズ・チャールズ・バーンズ)をご紹介しますので、そちらもおたのしみに!)


【作曲者:クロード・トーマス・スミス】

クロード・トーマス・スミス(1932~1987)と聞くと、「フェスティバル・バリエーション」や「ルイ・ブルジョワの主題による変奏曲」、「華麗なる舞曲」などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。全日本吹奏楽コンクールでたびたび演奏されるため、聴きなじみのある作曲家ですね。

彼は、大学時代にはホルンと作曲を学び、その後カンザス大学で作曲と理論を教える傍ら、多くの吹奏楽曲を残しています。

先述したスミス三部作とも呼ばれる作品が日本ではよく知られていますが、こういった超難曲だけでなく、中高生の教材として使えるような教育的配慮の行き届いたものまで幅広い作品があります。

彼の作品は、アカデミックでクラシカルな書法というより、どちらかというとポップスで見られるような和声やリズム感が特徴的です。また作品の多くは彼の名前を冠した「クロード・T・スミス出版社」と「ウィンガート・ジョーンズ出版社」から出版されています。


【華麗なる舞曲の作曲経緯】

「華麗なる舞曲」はアメリカ空軍ワシントンD.C.バンドとその指揮者であるジェームズ・マイク・バンクヘッド大佐の委嘱によって1986年に書かれました。

このバンドは世界最高峰の吹奏楽団であり、多くの作曲家への委嘱を通して、吹奏楽界をけん引してきたバンドでもあります。

(今はYouTubeチャンネルなんかもあるようです。

https://youtube.com/@TheUSAFBand?si=Ok-O-L2yHF28FPgw

その委嘱作品には「コンサートバンドとジャズアンサンブルのためのラプソディー(ウィリアムス/ネスティコ)」や「交響曲第三番(バーンズ)」、「ダンス・ムーブメント(スパーク)」、「ハリソンの夢(グレイアム)」など挑戦的な作品がずらりと並びます。先述の「フェスティバル・バリエーション」もこの団体の委嘱作品として書かれました。

 

委嘱をしたバンクヘッド大佐は、「舞曲がいい、しかも喜ばしげで、お祝いムードのある、その上で熱狂的な曲がいい」と要望したとのことで、それに対して作曲者であるスミスは、長さ以外では何の制約もなかったこともあり、大喜びでその要望に応えました。

 
いったいどんなダンスなのでしょうか。

1986年の春にこの作品は完成し、1986年12月20日にシカゴで開催されたミッドウェストクリニックにて初演されます。

今回指揮を務める客演指揮者である小野川昭博先生はなんとこの初演を聴きに行かれていたそうで、初演の衝撃たるや・・・とのエピソードを練習にてお話くださいました。

翌1987年に彼の自筆譜のコピーがウィンガート・ジョーンズ社から出版されます。

 

【華麗なる舞曲のタイトル】

スミスにとって、新作の命名はいつも悩みの種でした。「華麗なる舞曲」の原題は「Danse Folâtre」で、フランス語です。先述した通りアメリカの作曲者がアメリカの空軍に委嘱を受けて作曲したこの作品のタイトルがなぜフランス語であるのでしょうか。

これは楽譜が出版されたウィンガート・ジョーンズ社の創業者であるメリル・ジョーンズの娘がフランス語教師で、タイトルについて助言したためであるようです。

このフランス語の「Folâtre」は、陽気な、よくはしゃぐ、ふざけたなどのような意味ですので、原題をそのまま邦訳すると、「陽気な舞曲」というようなタイトルとなります。「華麗なる舞曲」とはだいぶ印象の異なるタイトルですね。

一方でスコアに記載されている英題は「Exuberant Dance」であり、「Exuberant」には第一語義に元気いっぱいの・熱狂的な、第二語義に(文章・装飾などが)華麗ななどの意味があるようで、「華麗なる舞曲」という邦題は、この第二語義をとっていそうですね。(いずれもプログレッシブ辞典参照)

 

【華麗なる舞曲の特徴】

「華麗なる舞曲」は、スミスが残した吹奏楽曲だけでなく、世界中の吹奏楽作品の中でも群を抜いて技術的に難曲だと言えます。そのため、どうしても曲のテンポだとかハイトーンの鳴り具合だとかに意識の向かいやすい曲ではありますが、シンコペーションのリズムや低音のダイナミックな伴奏など、細部は入念に書き込まれ、きちんとした舞曲のスタイルで書かれています。

また、近年、吹奏楽では「宇宙の音楽(スパーク)」や「モンタージュ(グレイアム)」、「ブリュッセル・レクイエム(アッペルモント)」といった、技術的な難曲がいくつも演奏されていますが、その多くはブラスバンド(金管楽器と打楽器からなる合奏形態)を起源とする作品で、最初から吹奏楽用に作られた作品ではありません。その一方で、最初から吹奏楽の響きを念頭に設計され、特に各楽器の持つ音色をフルに生かした色彩感に優れていることもこの作品の大きな特徴です。

 

 

作品が発表されてから37年。その輝きは色あせることもなく、これからも憧れとともに愛される名作であるように思います。

 


ここまでお読みいただきありがとうございました。

まちかね山吹奏楽団第21回定期演奏会は以下のリンクから来場予約できます。

まちかね山吹奏楽団 第21回定期演奏会 整理券申込み (form-mailer.jp)

 

みなさまのご来場を心よりお待ちしております🏔

次回もおたのしみに!

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